池袋ふくろう物語#13前篇
2011.10.27
その他
池袋ふくろう物語#13 前篇
9月のある日、えんちゃんはいけぶくろに出かけました。
8月の間はふくろ森で遊んでいたので、久しぶりの池袋です。
おもしろいものはないかなと思いながら飛んでいると、
植物のつるが見えるおうちがあります。
いつもなら車や電車、人間が見えるのに、
しょくぶつのつるが見えたのはははじめてでした。
あれはなんだろう?えんちゃんは飛ぶのをやめて、おうちの近くの木にとまりました。
つるがあるところを見ると、うえきばちにゴーヤが植えてありました。
うえきばちには「みどりのカーテン」と書いてあります。
あみにゴーヤのつるをまかせて、
カーテンのようにしているのです。
ゴーヤの向こうにはおうちの窓があって、
おもしろいなぁと思ってえんちゃんが見ていると、人間の声が聞こえてきました。
小さな男の子と、おばあちゃんが外に出てきてしゃべっているようです。
「わぁ、すごいねこれ!なんていうの?」
「ゴーヤって言うのよ」
「なんでみどりのカーテンって書いてあるの?」
「ほんもののカーテンみたいにひかげをつくってくれるから、暑い日でも涼しいんだよ。
それにね、もっとすごいことがあるんだよ。」
「なぁに?」
「このカーテンはね、できたゴーヤを食べられるんだよ」
「ほんと?これ食べれるの!」
「そうだよ。そこに二つ食べごろがあるから夜ごはんの時に食べようね」
おばあちゃんは、持っていたハサミでちょきんとゴーヤのつるを切りました。
二つの大きなゴーヤは、大きなおさらにおかれました。
その時、家の奥の方から赤ちゃんの泣く声がしました
「ゆうちゃんがおきたみたいだね、おなかがすいてるのかもしれない!
おばあちゃん、はやくいこうよ!」
男の子とおばあちゃんはお家の中に入っていきました。
あわてていたのか、ゴーヤのお皿はおきざりにされています。
えんちゃんは二人にきづかれないように、そっとゴーヤに近づきました。
ゴーヤはでこぼこしていていましたが、おひさまの光が当たってとてもきれいでした。
これを食べれる男の子はいいなぁと思っていると、
二人が出てくる音がしたので、えんちゃんはいそいで飛び立ち、そのままおうちに帰りました。