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池袋フクロウ物語 第3話

2010.12.16

その他

池袋フクロウ物語#3


コノハズクお兄さんのお家に、えんちゃんがお泊りに行く日がやってきました。
えんちゃんは朝からそわそわしっぱなしで、えんちゃんは朝からママとパパに「お兄ちゃんはまだ?」と事あるごとに聞いていました。
そうしているうちにお昼になって三人でお昼ご飯を食べていた時、
玄関のチャイムの音が鳴りました。
                                                                                                

「きっとお兄ちゃんだよ。えんちゃんが行って開けてあげなさい。」

えんちゃんはパパに言われるとすぐに玄関へと向かい、ドアを開けました。

「こんにちは、えんちゃん。見ないうちに大きくなったね。」

お兄さんがえんちゃんの頭をくしゃくしゃとなでて、にっこり笑いました。

お兄さんも一緒にお昼を食べて少し休憩した後、えんちゃんとお兄さんは出発しました。

「えんちゃん、一人でお泊りはさびしくないかい?」

「全然さびしくないよ!平気だよ!」

えんちゃんは答えます。近所の動物さんたちに一人でお泊りに行くことを言うと、
みんなにほめられてとてもうれしかったからです。

「それは頼もしいね!お手伝いもしてもらうけど大丈夫かな?」

「できるよ!へっちゃらさ!」

  えんちゃんは自信たっぷりに答え、さらに元気よく飛びます。
途中で何回か大きな木に止まって休みながら、お兄さんの住む山に来ました。

お兄さんのお家は山の高いところに移動したようです。

「さぁ、ここが僕の新しいうちだよ。」

お兄さんがドアを開けて中に入ったので、えんちゃんはそれに続いて部屋に入りました。
部屋の中は新しくてとても立派ですが、前のおうちよりも少し狭い気がします。
荷物を置いてお兄さんとお菓子を食べていた時に、えんちゃんはお兄さんに聞きました。

「ねえお兄ちゃん、どうしてここに引っ越したの?」

「そうだね、きょうはえんちゃんに僕が引っ越した理由を知ってほしくて来てもらったんだ。いまから行くところについてきてくれるかな?」
えんちゃんとお兄さんは、前のお兄さんのおうちの近くまで来ました。
すると、前のお家があった場所には道路が通っていて、車がビュンビュン走っています。

「とつぜん家が傾いてね、なんだろうって思って外に出たら目の前で木が切り倒されてしまったんだ。」

お兄さんが悲しそうに言います。えんちゃんはお兄さんの家の近所にはたくさんのフクロウさんがいたのを思い出しました。

「ご近所さんたちはどこにいったの?」                                          

「みんなこの山の上で暮らしているけど、山の上は木が生えている場所が少ないからばらばらに住むようになってしまったよ。それに家にできるような大きな木が少ないんだ。だから今のお家は狭くなったんだよ。」

お兄さんはほかにも、お家にできる木が少ないからフクロウの数が増えなくなったことや、木の実を食べる動物さんたちが、木の実が取れなくなっておなかをすかせていることを教えてくれました。
話を聞くうちに、えんちゃんは悲しくなって下を向きました。
なにも悪いことをしていないのに、なんでお家を取られたり、食べ物を取られたりしなくてはいけないのでしょうか?
えんちゃんが悲しそうにしているのを心配したお兄さんが話をやめにしました。
そのあとはお兄さんが森の中を案内してくれたり、おいしいご飯をつくってくれたりしました。
                                                                                                              
お兄さんと遊んだりご飯を食べたりするのはとても楽しかったのですが、家のあった場所に立っていた道路のことや、困っているみんなの姿を思い浮かべると、悲しくなったり何か自分にできることはないかなと思ったりするのです。
何かがモヤモヤしている気もしました。
次の日にお兄さんとモヤモヤ原因を見つけてやっつけてやろうと思いながら、えんちゃんのお泊り1日目が終わりました。 

#3おしまい

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