小笠原諸島における環境教育 ~外来種編~
2010.12.02
環境の緑化と美化
10月31日から11月5日まで小笠原諸島・父島にリサーチワークショップに行ってきました。
唯一の交通手段は、小笠原海運が運航する「おがさわら丸」、片道25時間半と長丁場です。
僕は雑魚寝の2等席に泊ったのですが、船酔いもなく案外すやすやと眠れました。
そして到着。
やはり長時間船に揺られていたので、陸に上がっても感覚がマヒして揺れ続けていました。
気候は11月なのに、半そで・半ズボンOK!すごく快適でした。
リサーチワークショップの目的の一つは、小笠原諸島における環境教育の取り組みについて学ぶことです。
今回はその中から、外来種対策について学んできたのでお話したいと思います。
動植物が移動する手段は何だと思いますか?3W1Hで表すことができます。
それは、Wing/Wind/Wave/Humanです。
その中でも、Humanに当たる人間によって移動したものが外来種となるのです。
小笠原諸島は東洋のガラパゴスと呼ばれるほど生態系が豊かです。そのため、外来種によって生態系が壊されるのを防ぐために様々な対策を行っています。
まだ生態系が壊されていない保護区や、生態系の違う隣の島に入る時には、洋服や靴裏についている種子をブラシで落とさなければなりません。
下の写真は、グリーンアノールと呼ばれる外来種のトカゲです。日本には小笠原諸島の他に沖縄にも生息していますが、小笠原は沖縄と違いヘビなどの天敵がいないため数は増加するばかりです。
また、準絶滅危惧種であるオガサワラトカゲやオガサワラゼミを捕えて食すため、これらは個体数が激減してしまいました。
グリーンアノールも1960年代にグアムからの貨物船で運ばれた、または米軍関係者のペットが捨てられたものと原因は人間にあります。
対策としては粘着トラップをしかけて捕獲するといった地道なものです。
歩いていてもたびたび見かけられたので、駆除するのは難しいと思われます。
島では以前、子どもたちに外来種=悪者として伝えられ、グリーンアノールを捕えて惨殺する子どもたちが増えたとのことです。
しかし、持ち込んだのは人間です。
ですから、悪者は外来種、グリーンアノールではなく人間と考えるほうが正しいのかもしれません。
今では小笠原の自然を守るために、しょうがなくグリーンアノールを捕獲していることを子どもたちも十分知っています。
最後に小笠原は現在、世界自然遺産として認定されようとしています。
これは、島の人たちが地道に活動をして生態系を守っている結果かもしれません。